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10月例会俳句   春旭

 10月の俳句部門の兼題は、「木の実」でした。
 それでは、その写真付き拙句を

  投込寺
   「木の実降る投込寺の土饅頭」   春旭

 投込寺とは、何処からとも無く投げ込まれて来た引き取り手の無い遊女や行き倒れの旅人等の遺体を葬ったお寺のことをそう総称します。南千住の浄閑寺などが投込寺として有名です。
 そういう事情の遺体ですから、勿論正式な墓を建ててもらえるはずがありません。墓地の片隅にひっそりと葬られるのが常でした。昔は大方が土葬でしたから、遺体を穴に入れてその上に土を饅頭の様に丸く盛り上げて作った塚で済ませたということです。それを、土饅頭と呼ぶのです。新しい仏の内はこんもりと盛り上がっていますが、時間の経過とともに段々と平らになって、その内に忘れ去られるというのが哀れな現実です。
 句の意味は、何らかの事情で売られて来て苦界に身を沈めながら死んだ悲しい定めの一人の遊女を、天が憐れんで供物として木の実をその塚に降らせているというものです。「土饅頭」という措辞で、この遊女がまだ死んで間もないという設定にして、より哀れさを強調させております。

 余談ですが今回の句の原点になったのは、市川雷蔵版か田村正和版の「眠狂四郎」の映像です。眠狂四郎は物語の設定で、前述の浄閑寺をねぐらにしているのです。そのワンシーンに、狂四郎が開け放たれた障子越に寺の庭先に目を遣ると、そこには新しい土饅頭があり、狂四郎はそれをニヒルな眼差しで見詰めるという印象的なものがあったのが妙に記憶の底に引っかかっていたのです。狂四郎は、そこに何を見たのだろう・・・?

 今回兼題「木の実」には、割と明るいほのぼのとした句や、色っぽい句が多かった中で拙句だけ異質な句になってしまいましたね。それにもかかわらず、ふらりさん拙句を特選に採って下さって有難うございました。




  

Tag:例会  comment:2 

Comment

幸恵 URL|
#St4TUToA Edit  2017.10.23 Mon11:00
 >木の実降る投げ込み寺の土饅頭
 
 物知りの春旭さんならではのお句ですね。
 駆け込み寺は聞いておりましたが
 投げ込み寺なるものもあったのですね。
 
 古い映画をよく記憶しておいでですね、
 眠狂四郎のワンシーンなど、その記憶力に驚かされます。

 それと、
 >天が憐れんで供物としての木の実をその塚に降らせるという件、
 この木の実がやがて芽を吹き若葉を茂らせ
 美しい木の実をまた降らせている
 そんな輪廻転生的な感傷に浸っているところです。
 有り難うございました。
春旭 URL|
#- 2017.10.23 Mon11:56
 さちえさん、拙句を素敵に解釈して下さいましてありがとうございます。

  今回の「木の実」は、私の句だけ異質の句になりどうかな?と思っていましたが、まあこういった傾向の句もたまにはいいかなと感じた次第です。
 古い映画好きなんです。特に昔の懐かしい時代劇。何本観たか数え切れません。ある意味今回の句は、ノスタル爺フォト575の範疇に入るかもしれません。
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