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2月NET句会  耕人選

特選:10番  春ショール一つ加えて旅鞄

〝もの〟がくっきりと見える優れた句だと思う。
出がけにふと気づいてカバンに放り込んだショールの軽さ、色彩、ふわりと収まる形態、さらにその瞬間のちょっとした慌ただしさまでもが目に浮かぶ。シンプルで無駄のない構成の中に春の浮き立つような旅立ちの気分が充ちている。〝ショールをひとつ加える〟という叙述のなかに、作者の旅支度が最低限の軽いもの、ということが暗に説明されているようにも。
自戒を込めて、俳句は軽みの中にも印象的な〝物〟をはっきり読者に見せねばならないなぁ、と痛感。

並選:8番  白杖の道打つ音や春近し

実に繊細な句。
視力障害の方の持つ白杖はただ単に道の形状と安全を確かめるだけのものではない、と作者は言っているのだ。
まれに彼らの杖が道を叩く音を聞いていると、人それぞれ特定のリズムを持っているようだ。人間の感情に直結したリズムだけに、冬には冬のリズム、春には春のリズムがあるに違いない。目で春を認識する晴眼者と違い、彼らは街の匂いや音で春の訪れを感じることができるのかもしれない。
そして何よりも、作者はそのかすかな打音の中に春の喜びを感じ取っているのである。…少なくとも、作者にはそう聞こえた、のだろう。どちらを特選に頂くか、かなり迷った次第。





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