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テーマ「父母」番外編  アルバムから自分史フォト575 耕人

セピアの日ただ真綿のごと母在りき

今回、せっかく春旭さんから「父母」という貴重なテーマを頂いたのに、いわゆる〝作り物〟を出してしまったことが後から悔やまれ、自分のアルバムから題材を選び「番外編」として新たに作り直してみた。
実はこれ、二点とも2007年にNHK出版から出した『趣味悠々』の番組テキスト(内藤タケウマさんの編集!)に収録したフォト575作品。モチーフは同じだけれど句は新たに作り直したもの。たしか雑誌の項目に「思い出フォトで作る自分史づくり」という項目があり、そこで使用したうちの2枚。プライベートな写真には恥ずかしさが伴うが、当時〝自分史づくり〟がブームになりかけていたので、写真と俳句の活かし方として役立てば、と掲載した思い出がある。
母との写真は昭和27年、まだ歯も生えていないので生後5~6ヵ月頃だと思うのだが福岡県大牟田市にあった生家の薬局の前。「イタミ薬局」という、なんだか却って傷や病気が痛くなってしまいそうな店名が今では可笑しい。嫁として薬剤師として忙しく働いていた母に抱かれた写真は珍しくこれ一枚。母親の無私無償無条件の温かな抱擁を〝真綿〟と詠んでみた。無季俳句のつもりだったが、調べると真綿は冬の季語。でも〝…のごと〟と形容なので正しい季語ではない。
ともあれ、自身のアルバムを引っ張り出し、自分史の(…というほどのものはないが)出発点と向き合ってみるのも良いものだ、と今回つくづく思った。自分は何処で生まれ、どのような人に育てられ、どういう生き方をしてきた何者なのか、ということを写真と向き合い拙い句を付けてみて、まんざら無駄ではなかったように思える。


行く夏やポマード匂ふ父との距離

こちらの作品は小学一年生の頃だろうか、家族で長崎の雲仙温泉を訪れたときのもの。当時の父親は、今のマイホームパパとは違い、相当エバっていた。食事も一品二品多いのは当たり前、加えて夜遅く酔ってのご帰還も珍しくなかった。
当然、たまの旅行だといって簡単に打ち解けることもできなかったのかもしれない。親父に肩を抱かれた緊張気味の自分のこの写真を見ると、我ながら何だか刑事に身柄を拘束された虞犯少年のようではないか。隙あらば逃げ出そうとしているようにも見えなくもない(笑)。
写真は正直だ。当時は明確には感じていなかったそんな心理も思い起こさせてくれる。もちろん限りない父との旅行の楽しささえも…。当時の父親は皆、結構い香りの強いポマードという整髪料をつけていた。この歳になっても、ふと電車の中などでそのような匂いを嗅ぐと子供のころにタイムスリップしてしまう自分がいる。写真に付けた句は、父の権威を思わすそんな香りに、憧れと少々の緊張を併せ持つ少年期の想いを読み込んだものだ。
しかし、乗客の少女たちの服装やヘアスタイルを見ると、つくづく時代を感じてしまうなあ。サザエさんちのワカメか、チコちゃんみたいなものだもの。そういえば、船上から撮られた別の写真には、大きな岩にペンキで記された「真知子岩」というのがあって、当時大流行した『君の名は』のロケ地記念だったとのこと。

皆さんのなかにも、断捨離真っ最中の方もいるはず。古いアルバムの中からもっとも大切で印象的なものだけ選び出し、五七五でちょっとした思い出を記してフォト俳句にしてみませんか? コロナ騒ぎがまだ収まらず、ホームに行っても会えないなか、自宅でこうして若いころの父母と対面していると感慨深いものがありますよ。

Tag:未分類  comment:6 

Comment

ふらり URL|
#- 2020.06.07 Sun08:55
耕人さんのセピア色の作品、どちらも情感というか、家族の絆を感じさせる素晴らしい作品ですね。しみじみと見せていただきました。

写真俳句は決まった形がなく、人それぞれの考え方で作品が作れるのが良い点だと思っていますが、こうしてみると確かに自分の過去の写真などを元に、写真俳句自分史と言う分野もあるなと思いました。
私は昭和20年の終戦直前生まれなので、生まれた時を含めて小さい時の写真が極めて少ないのですが、今の時代はスマホ写真も含めあらゆる生活場面の写真を残せるので、これからは写真俳句自分史はありだなと思いました。
耕人 URL|
#- 2020.06.07 Sun10:12
ふらりさん
ご感想を賜りありがとうございました。
この写真、実は二枚とも撮影者が分からないのです。状況からいって家族か親しい人には違いないのですが…。介護ホームの面禁が解けたら父母に聞いてこようと思っています。
家族の古い写真のゴミや汚れをフォトショップで無心に修正していると、不思議に心が落ち着いて来たりもします。意外な効能というか、一種のヒーリング効果かも知れませんね(笑。
船橋 URL|
#- 2020.06.07 Sun12:07
今朝、パソコンで板見さんの「自分史フォト575」を見てびっくりしました。
昨日から、古い写真や雑誌類の整理をしているところだったのです。
保存用にと残した中に、「趣味悠々」がありました。(「楽しむ!フォト五七五入門」「カシャット一句!フォト575」なども)
これでまた、断捨離は中断、懐かしい宝物探しに再点検をすることに変更です。
宝物探しが私の自分史??? 時間つぶし(笑)
板見さんのタイミングの良い投稿に感謝・感謝です。
耕人 URL|
#- 2020.06.07 Sun13:25
船橋さん
気が合いますね(笑。
実家の取り壊しに伴い、父母のアルバムが段ボール四箱僕の所へ。デジタル化を図るも遅々として進まず…。
自分と子供の写真整理もまだなのにー(泣!
春旭 URL|
#- 2020.06.07 Sun16:59
 耕人さん、貴重なお写真のアップ拝見させて頂きました。
 幸恵さんも引き続いて「思い出写真」をアップされていますね。何だかこっちの方が盛り上がりそうだから、ネットフォト句会「父・母」テーマ第2弾を開催しますか?(笑)。
 冗談はともかく、今度の新型コロナウイルス騒動も、こういった思い出を再確認することにつながった訳ですから、禍転じて福となすといったところでしょうか。

 ご実家は、薬局をなされていたのでしたか。「イタミ薬局」の件、思わず笑ってしまいました。(座布団1枚!)お母様の白衣姿(あの当時の薬局はみんなそうだった)に時代を感じますね。よくお顔を拝見すると、耕人さんはお母様似ですね。息子は母親似と言われますが、まさにその通りです。
耕人 URL|
#- 2020.06.07 Sun22:13
春旭さん
コメントありがとうございます。母が着ているのは、白衣ではなく割烹着というやつです。ほら、居酒屋の女将さんが着ている…。住居が一緒の薬局ですから、店と家事も一緒にこなさなければならなかったのでしょうね。同世代の男たちは多かれ少なかれそうでしょうが、割烹着には、そうした母たちへの微かな思慕を感じてしまうのです。
ノスタル爺の春旭さんなら分かるでしょう?
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